看護師さん

私は、国立がんセンターで、膀胱がん治療として膀胱全摘手術を受けました。

術後は苦しい時を過ごしました。

その中で看護師の働きに目を見張りました。

私は、手術の前に腸内の洗浄をしていたにもかかわらず、術後下痢を繰り返しました。

汗と尿と便の臭う中で看護師は懸命に世話をしてくれました。

私は看護師たちの働きに感謝して詩を作りました。

そして、術後の外来の時に一人の看護師に差し上げました。

それは次のようなものです。

詩「看護師さん」の紹介

 

看護師さん

 

看護師さんは有り難い

明け方午前三時

便の匂いの溢れた中で

血と汗のまみれたわたしの衣服の匂いの中で

便を拭き取りお湯で洗い

傷口を消毒しガーゼを取り換え

からだを丁寧に拭いてくれる

新しいおむつをとりつけ

新しいパジャマを工夫して着せてくれる

痛みの中で気持ちよさを与える

作業が終わったころに

二人の看護師さんに

「看護師さんは有り難いですね」とかすれ声で言ったら

二人はくくと笑った

作業を終えて「有り難うございます」と言って部屋を出た。

わたしが言うのは当たり前であるが

これはどういう意味なのだろうか

部屋を出て三〇分ほど経ってまたひどい下痢となった。

ナースコールを押すと

また同じ作業をしてくれた

そして温かな言葉をかけて去った

 

看護師は有り難い

看護師という仕事は「仕える」を具現する。

こんな仕事はこの世では稀有である。

その意味で存在が「有り難い」(difficult to be)

 

同室の友Oさんもがんを患い私と同じ80代である。介護をうけながら

「病院の土台はね、あなたがたなんだよ」

「安い給料でたいしたものだよ」と言って、最後に

「愛情のこもった看護ありがとうございました」

この患者も看護師の「有り難さ」を身に染みて知っているのである。

 

「読むと私たちが支えられます」

 

私は不幸にも術後2か月後、ある朝苦痛と高熱に見舞われました。

医師に連絡すると、すぐ入院の指示がありました。

原因が何かよくわかりませんでしたが、抗生物質の点滴と痛み止めの点滴を続けました。

1週間を経てようやく改善して、退院しました。

今回の入院でも多くの看護師の助けを受けました。

多くの看護師は、私に「看護師さん」の詩を読みましたよ、と言いました。

私は少し驚きました。

ある看護師は、「はっきりと感謝の言葉が伝えられるのは嬉しいことです」と言いました。

ある看護師は、「読むと私たちが支えられます」と言いました。

ある看護師は「苦しい時に慰められます」と言いました。

私にとってとても嬉しいことでしたが、ある看護師は、「看護師さん」の詩がナースステーションの壁に貼られているとのことでした。

 

私自身がこの経験で学んだこと

 

私自身がこの経験で学んだことは、

  1. 感謝の言葉ははっきりと伝えること
  2. 隣人に対する感謝の言葉はその隣人を支える、励ます、慰めるということ

であった。

特に、2つ目は私の新しい経験でした。

私たちの日常生活でも隣人とのかかわりの中で、感謝の言葉を明確に隣人に伝えることを忘れないようにしたい。

なぜなら、その言葉は思いをはるか超えて隣人を支えるからです。